皆さんは「エンジニア」と聞いて何を思い浮かべますか?
もし今、大学で学んでいて、将来のキャリアにワクワクするような道を探しているのなら、ぜひ今回の記事を読んでみてください。
私がなぜ、機械設計という仕事に人生を捧げ、今も若い世代にその魅力を伝え続けているのか——
それは「安全」と「誇り」という、二つの大きな感動があるからなんです。
数字の裏に宿る「命」と「未来」〜あの日の板厚計算ミス〜
機械設計とは、文字通り「モノを設計する」仕事です。
しかし、私たちが生み出すのは、ただの「形」ではありません。
その一つ一つの部品、たった数ミリの板厚に、人々の安全と、社会の未来が宿っているのです。
忘れもしない若手時代のこと。
私はある圧力容器の設計をしていました。
計算を重ね、図面を仕上げ、自信満々で先輩に提出した日のことです。
先輩は私の計算書をじっと見つめ、そして静かに言いました。
「この板厚じゃ足りないぞ」。
その瞬間、血の気が引きました。
自分の計算ミスで、安全基準を下回る板厚になっていたのです。
もし、あの時、先輩が気づいてくれなければどうなっていたか。
高圧ガスを扱うその容器は、実運転で破裂する危険性がありました。
それは人命に関わる大事故であり、高圧ガス保安法という国の厳しい法律を犯すことになる、取り返しのつかない事態でした。
「数字の裏には人々の命がある」というエンジニアとしての鉄則です。
机上の計算だけでなく、現場のリアルな状況、使う人の気持ち、そして万が一の事態まで想像し尽くす。
そして、何よりも「チェック」と「チームワーク」の重要性。
一人ではなく、チームで知恵を絞り、互いに確認し合うことで、初めて安全で信頼性の高いモノが生まれるのです。
この厳しさがあるからこそ、私たちは社会を「縁の下の力持ち」として支える誇りを感じられるのです。
技術が灯す「希望」:燃料タンクが繋ぐ暮らし
しかし、エンジニアの仕事は、ただ危険を回避するだけではありません。
私たちの技術は、人々の暮らしに光を灯し、社会を豊かにする大きな力を持っています。
私はかつて、ある国の辺境と言われるような地域に、燃料インフラを支える大型燃料用タンクの設計に携わったことがあります。
それは単なる大きな「箱」ではありませんでした。
そのタンクが安定的に燃料を供給することで、工場の稼働が保たれ、物流が滞りなく流れ、地域住民の暖房や電力といった日々の生活が成り立つのです。
そのタンクがその地域一帯にすむ人々の生活の礎となり、活性化させ、街を築いていく。
これがインフラストラクチャに関わるエンジニアの醍醐味だと思います。
私たちの設計したタンクが無事に完成し、稼働を始めたと聞いたとき、胸にこみ上げてきたのは、なんとも言えない「誇り」でした。
自分の知識と経験が、目に見える形で人々の生活を支え、地域の経済活動を下支えしている。
想像してみてください。
皆さんが設計した機械が、社会の基盤となり、人々の笑顔に繋がる。
それは、教科書やPCの画面だけでは味わえない、エンジニアならではの最高の「やりがい」です。
最先端技術に触れ、社会を裏から支える仕事は、まさに「社会インフラを支えている実感」を与えてくれます。
未来を創る君たちへ:メカニカルエンジニアという選択
AIやIoTといったデジタル技術が進化する現代において、機械設計の仕事は「やめとけ」なんて言われることもあるかもしれません。
しかし、それは大きな間違いだと私は思います。
むしろ、物理的な世界とデジタルな世界をつなぐ機械設計エンジニアの重要性は、ますます高まっています。
「モノづくり」の根幹を担っています。
担当する部品だけでなく、その部品が製品全体の中でどのように機能するのか、製品が社会にどう役立つのか、という広い視点を持つことができれば、この仕事は無限の可能性を秘めています。
さあ、未来を創る皆さん!
好奇心と探求心を持って、ぜひこのメカニカルエンジニアの世界に飛び込んできてください。
あなたの手が、次の時代の「安全」と「希望」を形にするのです。
現場で皆さんと共にモノづくりができる日を楽しみにしています!


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