機械設計の現場では、設計者一人の力では仕事は完結しません。
――多くの人が関わるからこそ、必ずといっていいほどアクシデントが起きます。
設計ミスや製作上の不具合、コスト算出の見誤り、スケジュールの遅延、法規チェックの漏れ。
私自身も数え切れないほど経験しました。
大事なのは「失敗をゼロにする」ことではありません。
失敗を糧にして、次の一歩を強くすること。
これが、長くキャリアを積み重ねてきて痛感している真実です。
技術力の裏には「失敗の歴史」がある
高い技術力を誇る企業ほど、実は過去に数えきれないほどの失敗を経験しています。
その一つひとつを「学び」として蓄積し、改善を繰り返してきたからこそ、組織は強くなり、やがて世界に誇る製品を生み出すに至るのです。
つまり、あなたが今日した失敗も、未来の技術の礎になるということ。
そう考えると、少し気が楽になるのではないでしょうか。
私の失敗談:輻射熱を見落とした設計ミス
私も若手の頃、冷や汗をかく大きな失敗をしました。
低温容器の設計を担当したとき、配管から容器内部への侵入熱を計算したのですが、熱伝導や内部ガスからの伝熱は考慮していたものの、輻射熱の影響を見落としていたのです。
その結果、容器の断熱性能が設計値を超えてしまいました。
大きなショックでしたが、この経験から「低温液体を扱う場合、配管内部の輻射も必ず計算に入れる」ことを学びました。
今では、この失敗が私の設計スキルをワンランク引き上げてくれたと感謝しています。
失敗をポジティブに変えるマインドセット
失敗をすれば落ち込みます。
私も何度もそうでした。
でもそこで「終わり」ではありません。
むしろ、失敗は成長のサインだと考えるのです。
「これでまた一つ強くなれた」
――そう思えたとき、エンジニアとしての歩みはどんどん前に進みます。
読者の皆さんにもぜひ、この考え方を持ってほしいと思います。
好奇心と探究心がキャリアを支える
エンジニアにとって、学び続ける姿勢は命の次に大事だと私は思っています。
今、私自身が夢中になっているのは生成AIです。
触れれば触れるほど理解が深まり、設計や学びの可能性を広げてくれる。
これはまさに、新しい時代の道具を手に入れる喜びです。
常に新しい技術に触れることで、エンジニアとしての好奇心と探究心は磨かれ続けます。
若手エンジニアへのメッセージ:挑戦する価値を信じて!
学生や若手エンジニアの皆さん。
メカニカルエンジニアという仕事は、決して飽きることのない素晴らしい仕事です。
私は「やりがいがない」と感じたことは一度もありません。
失敗しても大丈夫。
学び続ければ必ず強くなる。
この道は面白いし、挑戦する価値があります。
ぜひ胸を張って、一歩を踏み出してください。


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